まさか・・・・俺なしで先見をしてたのか?


そっと手を伸ばし四季の膝に乗っている書類を手にしてパラパラとめくる。


そのまま同じようにソファーに身を預け中をじっくりとチェックした。


全部・・・・記入してある。






「・・・・・・・・・おかえりなさいませ望様」





響いた声に驚く事もなくゆっくりと四季を見つめた。


その眼は開いているけれどまだ眠りから覚めきらない様で、まどろむ瞳で俺を見つめる。


さっきの女も同じ様な表情をしていたというのに・・・。


まるで違う。


ゾクリと鳥肌が立ちそうな程透明感のある存在に感じる。


一瞬見惚れ、でもすぐに書類に意識を移すと言葉を返した。



「・・・・やれば出来るじゃないか」


「・・・・・とても・・・とても疲れるんです。見るべき相手が不在の先見は・・・・」



そう言った四季がどうにもその意識を保てないのか、カクンと頭を揺らしてから波に揺られるように俺の肩に寄りかかる。


軽い衝撃とふわり舞ったのはシャンプーの香りらしい。


嫌悪のないそれにどこか安心して、それでも自分らしく悪態を返す。



「おい、俺を枕にするな馬鹿女」


「ふあっ・・・ん、はい・・・すみま・・せ」


「よだれとか垂らしたらぶっ殺す」


「んんっ・・・・のぞむ・・さま・・・・・ちょっと・・・煩いです・・・・・」



煩いだ・・・?


人に勝手に寄りかかっておいてこの馬鹿女・・・。


こっちの感情お構いなしにそれでも何とか眠気と戦っているらしい四季が不意に眉根を寄せて寝言のように感じた事を口に出した。



「・・・・・望・・さま・・・・・臭いです」


「やっと吐き出した言葉がそれか?よっぽど元の生活に戻りたいらしいな馬鹿女」


「・・・・だって・・・ほんと・・・香水・・・・・・・、何されてきたん・・ですか?」



何って・・・ナニだよな。