「んんっ・・ふぁしかに・・・あわすぎ・・」
「・・・・飲みこんでから喋ろよ馬鹿女」
溜め息を交えて切り返せば、なんとか必死にそれを飲みこみ口を空にした四季がニッと笑って自分の非を認めた。
「確かに・・・甘すぎました望様」
「以後・・・気をつけろよ」
「ああ、では・・・また食べて下さるという事ですね」
失敗・・・。
もう俺何してるんだか・・・。
不覚にもまた食べる口実を作ってしまった自分の言葉に四季が嬉々として反応し、持っていたフォークでパンケーキを刺すと俺の口元に持ってくる。
「とりあえず、今日はこれで我慢してくださいませ」
「お前・・・自分で今この味を体感しておいてよく人に勧めてくるな」
「望様はいつもお忙しくて余裕がなさすぎです。休息には甘い物が必要ですから」
「殺人的に甘いこれは逆に体壊すだろうな・・・・」
「大丈夫です。望様は一服盛っても死ぬような方に見えませんから」
「笑顔で何恐い事言ってんだよ」
本気で裏を抱いていないか、四季に関しては全く読めないから恐怖を感じる。
いつもみたいなこの馬鹿っぽい笑顔でさらりとヒ素でも盛っていそうだから動揺してしまう。
そんなやり取りをしていればふわりと舞ってきた紙飛行機が俺の頭に当たって落ちた。
同時に駆け寄る秋光が俺を見つめてからその紙飛行機を拾い上げる。
しばらく拾い上げたそれを見つめていた秋光が躊躇いながら俺と距離を縮める。
何だ何だ?と疑問に眉根を寄せたのに、すぐに眉間の皺は掻き消されてしまった。
キュッと俺の袖を掴みその手の飛行機を差し出してくるあどけない姿。
もしかして・・・・飛ばせってことか?
半信半疑でそれを受け取りふわりと広い部屋に放ってみれば、その眼に子供らしい輝きを現し追いかけていく姿。