お前の望むような感情面からのそれではないと暗に告げて優しくない頬笑みで見降ろした。
のに・・・。
揺らぐことなく俺を微笑む彼女の目が、先見をしている時の様に俺を見透かしてグレーが揺れる。
「・・・自分の中に・・・【優しさ】があると恐いですか?」
「・・・な・・に」
先にその笑みが崩れたのは俺の方。
絶えず微笑む四季はさっきまで軽く見下せた存在ではすでになくなっていて、視線は下だというのにその存在は対等・・・いや、どこか上から見降ろされているようにも感じる。
でも決して威圧的ではなく、見降ろすというよりは見守るそれ。
俺にはあまり経験のないそれ。
だからどう対処していいのか分からずにその空気に溺れてしまった。
「望様は・・・【優しい】とか【思いやり】とか無償の愛のの様な感情は必要ないって思ってるんですね」
「・・・・ちっ・・・、また・・・読んだのか?」
「読んだって、気になさらないお人でしょう?」
「まぁな。だからと言ってこんな時に読まれるのは癪だ・・・」
「安心なさいませ。読まずにも分かる事を読む程私も不躾ではありませんから」
その言葉に不機嫌に逃していた視線を四季に戻した。
にっこりと微笑んで否定する四季がスッとその指先を皿を持っている俺の手に近づけすぐに止まる。
「・・・・触れても?」
「・・・・好きにしろ」
了承を得ると不安を浮かべていた目がふわりと笑う。
そうしてそっと触れてきた指先が躊躇いつつもすぐに俺の手に絡みつく。
ゾワゾワと鳥肌が立ちそうな程冷たい四季の指先に、さすがに怯んで眉根を寄せる。