「あははってなによ、ハル今日も鹿川先輩見に行ってたの??」


「当たり前でしょ。はあ…今日も目の保養だったなあ〜」


「そんないつまでも夢見てるから彼氏できないのよ」


「なっ」



麻衣だって彼氏いないじゃない!!!


呆れ顔の麻衣を睨みつけるけど、やっぱりあんまり自信がない。


私の大好きな鹿川夕陽先輩は、2つ上の高校三年生。


つい2ヶ月前である入学当初、バスケ部の見学をしたいと言った友達について行った時に先輩のプレーを見て一目惚れしてしまった。


それ以来、お昼休みに先輩がバスケをしているのを見るのが日課。


でも、バスケ部のエースである先輩は当然人気があるから仲のいい女の子だってたくさんいると思うし、私なんかよりもずっと前から先輩のことを好きな人だっているに決まってる。


そんなことは体育館のギャラリーに集まる女の子達の数をみて毎日思い知らされているのに、それでも気持ちは変わらないのだ。



「付き合うなんて絶対無理だから見てるだけでいいんだ…」


「ハル…、そんな悲しいこと言わないでよ。あたし応援してるし、良ければいくらでもいい人紹介するよ?」



麻衣はいつもは思ったことをズバズバ言うけど、根はとても優しい。



「ありがと」



私は微笑む。