途端に冷めてしまった。


今度は僕が興味を無くす番だった。



「僕は別に琴音を信用してはいないよ」


気持ち同様、冷えた声色で言い放った僕を、雅樹は珍しく驚いた顔で見てくる。


思考が丸わかりな友人に、軽く笑んでから顔を逸らす。



離れた席に座る琴音は、楽しげな様子で女子の輪の中にいる。


どことなく、僕と接する時よりも控えめに振舞っているように見えるのは気のせいじゃない。


自然と誇らしい気持ちになると同時に、幾分か穏やかな気分になった。



「昔、信じて痛い目にあったことがあるからね」



琴音が僕以外の人と一線を引いて接するのは、無意識の行動であって本人も気付いていない。


だから別に四六時中気を張っているわけじゃないのだ。


おそらく、あまり人との馴れ合いをして来なかった僕に倣ってのことだろう。