僕は時々思う。
幼なじみの琴音の可愛さは全世界の人間が壁……いや空気としてしか認識できなくなるほど可愛い。
むしろその可愛さこそが罪だと。
「おはよー沙羅くん」
「おはよう琴音」
玄関先からパタパタとかけてきた琴音ににっこり笑む。
裏では際限なく『可愛い』を呟き続けて胸の隙間を埋めてチャージ終了だ。
昨日の夕方別れてから会えないことが辛かった。
辛すぎてまた、琴音の写真(盗撮)をシワ一つ作らないように抱きしめてキスをして嗅いで撫でてetc……
といった行程を経て今彼女の目の前に清々しい笑顔を浮かべて立っているなんてこと、当の本人は知る由もないだろう。
楽しそうに喋る琴音を隣で眺めて願望を抱く。
歌を口ずさむ小鳥のように愛らしい。
閉じた時の二重まぶたにキスしたい。
つぶらな瞳を永遠に見つめていたい。
ふにふにの柔らかい頰をつまみたい。
ぷっくりピンクの唇を食んでみたい。
艶々の黒髪と小さな爪をもらいたい。
病的に白い肌の隅々を撫で回したい。