2人で自販機に向かいながら、舞は話してくれた。


「中2の時ね、親友が自殺したの。」



それは衝撃的な内容だった。




「小学生の頃から仲が良くて、自他共に認める親友だった。中学に入って、その子の母親が再婚したの。それから、少しおかしくなった。」


ガコンッと音を立てて、缶ジュースが出てくる。

それを手にとって、舞は一口口に含んでから続けた。



「たまにすごく暗い影が見えて、何かに怯えているようにしたり、上の空だったり。何度も聞いたわ。どうしたの?何かあったの?って。」


舞の表情が険しくなって、その手がジュースを握りしめる。


「何も言ってくれなかった。私の心配も、好意も、彼女には届かなかった。様子がおかしくなって1年半くらい経って、彼女は自宅マンションから飛び降りた。

自殺の原因は、義父の虐待。

私は、何も知らなかった。」