「どういうことだよ。」
「私、昔大切な人を失ったことがあるの。今の美月ちゃん、何だかその人に似てる。」
オレンジジュースとお茶を持って、保健室に戻った。
美月は起き上がったまま、窓の外に目を向けている。
「どっちがいい?」
「ありがとう。オレンジジュース。」
「あのさ、美月。俺に話したいこと、、、ない?」
「え、、、えー、何いきなり。」
作り笑いをする美月の頰にそっと手をおく。
“このままじゃ、玲は美月ちゃんを失うことになる”
舞の言葉が、頭の中を反芻する。
俺は美月を、、、失うのか?
「何もないよ。どうしたの、玲、元気ない。」
頰に触れたてを、そっと握る美月の手は、夏場なのに冷たくかすかに震えている気がした。
「好きだよ、美月。好きだから、話したいことは何でも話して、抱えてるモノがあるなら一緒に抱える。」
美月を抱きしめると、そっと抱きしめ返してくるのがわかった。
それでも、美月は何も言わなかった。