なんで何も聞かないんだ、、、俺、、、。
中庭の自販機にもたれかかってため息をつく。
「何、臆病になってんだ。」
彼氏なんだから、もっとちゃんと知っておけばよかった。何でも聞いてやれる存在になりたかった。
「俺、だめだなぁ。」
「本当だよ。このダメ彼氏。」
声に振り向くと、舞が後ろに立っていた。
手にはパックのジュースが握られていて、ちょうどここで買ったらしい。
「舞、何だよ。傷口えぐりやがって。」
「何よ。一応、忠告しに来てやったのに。」
「忠告?」
言った舞は、少し真剣な顔になって続けた。
「このままじゃ、玲は美月ちゃんを失うことになる。人間ってね、抱えきれないモノ抱えて、身体や心が悲鳴上げるまで頑張って、それでもダメでパンクした時、手の中に残せるのは1か0。その1は自分自身、0は、、、死。」