「美月!!!」
突然倒れた美月を、咄嗟に抱え上げる。
教室中がパニックになっていた。
「なに?美月!?どうしたの?」
「美月が倒れた!」
「誰か先生呼んで!!」
1番パニックなのは俺の頭だ。
みつきを抱えたまま保健室に駆け出した。
「軽い貧血ね。」
養護教諭の先生がそう言うのに、俺はホッとため息を漏らした。
「寝不足もあるわね、きっと。内藤さん、何かあったのかしら?」
「わかんねーです。」
なにも知らないことが恥ずかしい。
誰よりも美月のそばにいるのに、なにも知らないことが。
ベッドで眠る美月の顔色が悪い。
そっと頭を撫でた。
「美月、、、お前は、なにを抱えてるんだ?」
独り言は、空気の中に溶けて消えた。