俺の中で時が止まった。
美月に好きな人がいる。ヤバイ。
焦った。美月に彼氏ができてしまう。
その時、美月は妹の話をたくさんしていた。
よっぽど仲が良いらしい。でも俺の頭の中はそれどころではなかった。
「でもその好きな人は、玲くんだったんでしょ?」
アカネが聞いてくる。
「そう。俺が焦りまくって、ヤケクソで告白したら、いいよって言ってくれたんだ。」
半分は勢い任せだった。
「内藤、今日一緒に帰らねぇ?」
「………。」
ポカンとしている美月に付け加える。
「ほら、帰り道一緒だし。たまには、さ?」
「……いいよ。」
その時、嬉しすぎて美月の顔をよく覚えていない。
でももしかしたら、美月も喜んでくれていたのかもしれない。
「好きだ。」
と言ったら
「私も。」
と笑った。
あの瞬間を、多分一生、忘れない。