当然の如く、俺も美月もクラスの中心人物だった。


てっきり、あの時泣いてたのは女子同士のいざこざが原因だと思っていて、だからその光景を見てびっくりした。


明るく、誰に対しても笑顔で、嫌味のない美月。

誰からも好かれていた。


そんな美月が、また俺の前で泣いたのは、受験勉強真っ只中の中3の秋。



珍しく遅刻してきた美月は、顔色が悪く笑顔もどこかぎこちなかった。

休み時間、心配する女子達の群れに笑顔で対応する美月を、俺は保健室に連れ出した。




「別に、無理して笑わなくてもいいんじゃねーの?」


そういう俺に、黙り込む美月の顔は無だった。
そしてまた、涙をこぼした。



「今日は休んだら?」


また美月の隣に座ると、今度は美月はキュッと俺の手を握った。


「青葉くんは…兄弟いる?」

「俺?一人っ子だけど。」

「…そう。」


その後はただ黙ってなく美月の隣にいた。


その時だと思う。

守ってやりたいと思ったのは。
好きだと自覚したのは。




「内藤、高校どこ行くの?」