校門を抜けて、学校のレンガ造りの塀を駅に向かって走る。

朝は駅前で降ろしてもらった。

だって、ハイヤーで学校前まで送ってもらったら大変なことになっちゃう。

それでも、先輩に見られてたらしく、この呼び出しだもん。

佐々くんは不満そうだったけど、正解だったよ!


「はあっ、はあっ…」


どこか別のトコで待ち合わせにしてって、返事しなくちゃ…っと、

立ち止まった瞬間だった。

佐々くんが、私がいる反対側の道を、駅から学校に向かって歩いてくるのが見える。

その姿に……

朝まで一緒にいたことを思いだして…

触れられたところが、なんだか、くすぐったくなってくる。

なんだか急に恥ずかしくなってくる…


反対側の歩道は木陰になっていて、風に揺れる木漏れ日が佐々くんを照らし、影を作っていた。

整った顔立ち、背も高くって、そこら辺のモデルなんかより、ずっと絵になる。


なんで、佐々くんってば、無駄にカッコイイの!?

そんな人が女子高なんかに近づかないでほしい。

だって、ほらっ!

みんな、佐々くんを見て、きゃあきゃあ言ってる。

しかも星陵の制服。

佐々くんってば、さらっと言ってたけど、めちゃくちゃ頭いいじゃん!

目立つ!

とにかく、目立ちすぎる!!

女子高に、そんな目立つ男子来ちゃいけません!


そういう自分も見とれていたことに、すぐさま気づかされた。

佐々くんが、ふいにこっちを見る。


「あ……」


お互いの視線が合う。

それと同時に、佐々くんを見ていたオンナの子達も、同じ様に私のほうに視線を移したのが、容赦なくわかった。