よほど困った顔をしていたのか、佐々くんは笑いながら私の顔を覗き込む。

一瞬、キスされるのかと思って、思わず身構えるけれど、佐々くんは約束通り何もしなかった。

唇を寄せる代わりに、

コツン…っ

と、額をぶつける。

まるで、熱を測っているみたいに。


「とにかく、絶対に他のオトコに声かけんなよ?オレ、自分でも何するかわかんねぇからな」


そう、優しく言い聞かせてるけど……

見据える、怖い目。


「花美にじゃねぇよ?…声かけられたオトコのほう」


私は、ゆっくり視線を逸らしながら、左下を見た。


――困ったなぁ……


これって、脅迫なんじゃぁないの?

早い話、佐々くん以外はダメってことでしょ?

そりゃ、私としても、佐々くんが最期までシてくれるなら、それが一番いいんだけど。

だったら、ちゃんと約束してくれなくちゃ。

最期までちゃんとHしてくれるって……

でも、佐々くんってば、その辺はハッキリしてくれない。


「ん~……」


私は少し考える。

そして、考えたところで、結局のところ自分に選択肢がないことに気づいた。


「がんばってみる…」


そう、私がポツリ…呟くと、

佐々くんは、私からのキスを楽しみにしてると、満足げに笑った。