チャラ男(その①)は、いきなり私の前に立ちはだかると、彼女に向かって罵声を浴びせはじめた。
「うるせぇ!ブス!」
「ちょ…ちょっと、やめてよ!」
「ブスはさっさと帰んな!このコに用があるのはこっちが先なんだよっ!」
なに勝手に喧嘩はじめてんのよぉ!チャラ男(その①)!!
それに、彼女ブスじゃないじゃん。
女子高だったら間違いなく、“お姉さま”なんて、慕われてそうな、凛とした美人さんデショ!!
「連れてけ!」
チャラ男(その①)が顎を上げて合図すると、後ろからチャラ男(その②)がニヤニヤしながら私の腕をつかんだ。
ちょっと!どさくさに紛れて、どこ連れ込む気よ!
――あ…やばっ…
さっきまで、怒りに震えていた彼女の右手の、
震えが止まった。
ゴッ!!
鈍い音を立てて、
チャラ男(その①)の頭が、揺れる。
うおぉおお~!!
ゲンコでいったあぁぁぁ~~!!
――まずい…っ!!
「…ぁに、しやがんだぁ!!てめぇ!!」
私のすぐ横にいた、チャラ男(その③)が、彼女めがけて飛び出した。
経験上、このテのオトコは興味のないオンナに加減がない。
「やめてよぉっ!!」
チャラ男(その②)の腕を強引に振り切り、咄嗟に彼女の前に割って入った。
私の真正面には、大きく見開かれた彼女の涼やかな瞳……
――わあ…、やっぱり、キレイな人じゃん…
不謹慎にも、見とれてしまった。
その直後、背後で、ものすごい轟音が響き渡る。