「…あんた…そんなにヒトの彼氏とって楽しいの!?」

「……へ?」


彼氏……?

なんの、こと…?


でも、理由もなく言いがかりをつけてくるような人種には見えなかったから、

とりあえず、必死で心当たりを探してみた。

ナンパしてきたやつとか、告って来たヒト、あとは…

う~…ん…わかんないなぁ……


「えと…どんなヒトなんですか?その…、特長とか?」


聞こえているはずなのに、彼女は微動だにせず立ちはだかったままだ。

握りしめられた右手が、怒りで震えてるのが見える。


――困ったなぁ…、何か言ってよ……


叩かれた頬が、熱を持って充血してきているのがわかる。

痛い…

早く冷やさないと、腫れるかなぁ…と、左手で頬をさすりながら、


――これは別れ話に利用されたな……


そう、思い始めてた。

だって、前にも似たようなことがあったもん。

さすがに、いきなりひっぱたかれはしなかったけどね……


さて、どおしよう…?

誤解だと思うけど、どう説明したらいいのかわからない。

途方に暮れてると、

突然、彼女が涼しげな眉尻を跳ね上げながら、嘲笑を浮かべ言い放った。


「そぉでしょうね…こんなにオトコに囲まれてちゃ、いちいち誰の事なのか覚えてないわよね~?」

「…オ…オトコ?」


後ろを振り返ると……


「ぎゃわっ…!!」


な…なに!?なんなの?…このギャラリーの数!!

十数人はいる!!

しかも、なんでオトコばっか?


「あきれた、オンナ同士の喧嘩にオトコつかうっての?花美ちゃん?」

「ち、違っ…、あのね、きっと何かの間違い……」

「最っ低!!」


ちょっ…、ハナシ、おハナシ聞いてください!!

とにかく誤解!

誤解なんだってばぁあ!!


とにかく話し合おうと、彼女に近づこうとした時だった。


ぞわ…ん……


悪寒が走る。

一人のオトコが私のカラダを引き寄せ、

そして、私の頬に手を添えたかと思うと、おそらく一番のキメ顔で囁いた。


「…かわいそうに…大丈夫だよ…」

「……ハア!?」


あっ!さっきのチャラ男(その①)だ!

すっかり忘れておりましたっ!!