あの後、まるっと2日間寝込んでしまって、3日目の今日、ようやく学校に行けるようになった。

明日からは夏休み前の試験が始まるから、それまでに何とか熱が下がって一安心。


「あ~、でも補習疲れたよぉ…」


沈みかけてる太陽に照らされた海を見ながら、みなと公園の舗装された遊歩道を歩く。


――キレー


この道はスキ。

駅まではちょっと遠回りになるケド、散歩がてらにちょうどいい。

昨日、佐々くんからラインがきた。


“どこにいる?”


でも、返事はしてない。

だって、会わないって決めた。


「どおしようかなぁ……」


ポツリ、つぶやく。

佐々くんに頼めないとなると、また他のオトコの人探さなくちゃいけないってことだよね?


――なんか、ヤダなぁ……


条件さえ合えば、誰でもよかったハズなのに、

どおしてこんなめんどくさいコトになっちゃってるんだろう?


「はぁああ~……」


深いため息を落とすと、視線の端に何かが見えた。

海岸線に沿って緩やかなカーブを描きながら伸びる遊歩道。

その街路樹の陰から……


「……え?」


佐々くんの姿が見えた。

オンナ連れで……


「うそ、なんで?」


咄嗟に脇道に逸れようとして、一本道だったことに気付く。

そもそも、公園内なので身を隠す場所が少ない。

辺りをキョロキョロ見渡すケド、

左側は海、前からは佐々くん、右側は…ただの広場。

でも、よく見ると広場を抜けた数メートル先に、もともとの原生林を残した森がある。

取りあえず、その森の中を通る遊歩道を目指して走り出した。


「はあっ、は…はあ!」


なんか…

あれ?…

なんだか、私ばっかり…

なんでこんな目に合ってんの!?


こっちは、ショックで2日間も寝込んだって言うのに、


――佐々くん、オンナの子と一緒だった……


私には、『自分のコト好きになれ』とか、勝手なこと言っといて、ソレか!って感じ。

そりゃ、初めて会った時だってそうだったし、別に私がとやかく言うことじゃないけど……


あ~もう!

なんだか、無性に腹が立ってきた!!


だったらあんなふうに、

『花美…』

…って…、

やさしく呼ばないでほしかった……