「本当に…ゴメンナサイ……」


正座で2人に向き合うけど、直視できない。

うつむいたまま、色あせた畳を見る。


「…その、花美が戻ってくるかも~…とは、思ったんだけどさ……!…まぁ…、ゴホン…!!…こっちこそゴメン!」

「俺はいいケドネ。見られて燃えたし?あんたも一緒にどう?」


ボスッ…!


鈍い音を立てて、お姉さまのエルボーが決まった。


「バカっ!藤堂(とうどう)!!」


でも、全然平気みたい。

何事もなかったかのように、二本目のタバコに火をつける。


藤堂さんって言うのね。

お願いだから服着てください。

何気に視線がいっちゃう。

鍛えられた筋肉。

でもスポーツマンってカンジじゃないし?

ワイルド系。

きっと、外においてあったハーレー、

藤堂さんのだ。

年上なのかなぁ~、確実に高校生ってカンジじゃない。

20代後半?


すでにお姉さまは、Tシャツにジャージのラフなスタイル。

藤堂さんと並んでると、その華奢さが際立つ。


オンナっぽくて……

なんか乱れた髪も、色っぽくて……

さっきの情事の光景がよみがえってくる。


かぁああああっ……


顔が熱い。

でも、それだけじゃなくて……

なんか…、その、なんっていうのか……

いいなぁ……って、思う。

二人の距離が……ね?


すごく近くて、

心が寄り添ってるって、感じ。


――Hすれば、ああなれるのかなぁ……


そんなコト考えてたら、

不意に、佐々くんの顔が浮かんだ。

この1週間で、ようやく凪いだキモチが簡単に波立つ。


「そ、そだっ、忘れ物!…私、忘れ物しちゃった!!ちょっとスーパーまで取りにってくるね!」


何とか笑って、勢いよく立ち上がる。

部屋を出ようとしたところで、


ガシッ!

「きゃあっ!!」


いきなり足をつかまれた。

床にうつぶせで叩きつけられると同時に、背中にお姉さまの体重がやわらかくのしかかる。