翌日。

なんか…目覚めがいつもより良い…。


「功が…私の…。」


ベッドの上で両手を広げて、
思わずはにかむように笑ってしまう。

幸せかよ。うん。幸せだよ。

なんて自問自答を繰り返し。



今日も功と一緒に居るつもり。
補習は免れたから、
気楽に夏休みを過ごせる。


朝ごはんを軽く作っていると、2階から兄さんが降りてきた。


「兄さん、おはよう。」

「おう。今日も夕飯いらねーから。」

「え、今日も?」

兄さんは最近夜遅くに帰ってくる。
多分…女の人の家だろう。


「悪いかよ?」


少しきついその言い方。


「べ、別に…。
でも程々にしときなよ、遊び。
それと…功と付き合う事にした。」



「ふーん。良かったね。
遊びは……ま、俺の勝手だから。
早く、飯。」


「…うん。」


ルナさんと別れてから、兄さんは段々と横暴になってきている。

きっと兄さんには、ルナさんが…


ま、余計なお世話か…

「はい、どうぞ。」

「いただきます。」

大きなテーブルに二人。
なんの会話も交わされず、
カチ、カチと時計の音だけが聞こえる。

なんの味気もないご飯。


「じゃ、俺行くわ。」

兄さんはカバンを背負い玄関を後にする。

「…行ってらっしゃい…。」

私は抑揚のない声でそう返事をする。


「さ、功を起こしに行こう。」

私も軽い足取りで、玄関を後にした。