そしてサラッとしたワンピースに着替え、麦わら帽子を被り、功の元へ。


「お、来た来た。」

「うん。」

「ほら、」

そう言って差し伸べられた手。
私よりも大きくて広い手と、
見上げれば優しく微笑む功。


「ありがとう。」

私はその手を受け取る。


周りにいる幼なじみの子達は、思春期なため、
あまりこういったスキンシップを取らなくなっていた。


多分この時から、中一の時から、
私は色んな事があって、功に全信頼を置いていたんだと思う。


だから、今こうして触れる事ができる。
功だけは…特別。


「梨乃、何食べたい?」

「うーん、たこ焼き食べたい!」


そう言ってたこ焼きを買い、二人でベンチに座って食べる。


「あっ!熱っじぃ」


予想以上に熱くて、思わず手で口元を覆う。

もうちょっと冷ましてから食べれば良かった。


「ふはっ…梨乃大丈夫?」

功は私を見て笑みをこぼし、そっと頭を撫でた。

なんか…恥ずかしい…、

「んん、大丈夫…」



しばらくして、功はこんな事を言う。

「少しは、元気でた?」

「うん。功のおかげだよ。
でもね、…本当はかなり不安。
この先どうなるか分からないし、

名字が変わって色々既に言われてるし…、」




弱音を吐いたのは、功が初めてだった。
功には、なんでも話せるのかもしれない。



「そっか…でも大丈夫。
第一、僕がついてるし梨乃が傷つくような事は、絶対させないから。」

功は、そう言ってくれた。


それから功は、
私が色々と罵られても、
嫌がらせを受けてる時でも、
功は私を戸惑いなく庇ってくれたし、
泣きたい時に側にいてくれた。


自分だって嫌な事を言われたに違いない。
なのに…。本当に優しい人。



年々能天気っぷりが増してるんだけど、
あの時の功は本当に頑張ってくれていて、
忘れられない。


それは今も。