曲が洋楽であるから、レトロな緑を基本とした水玉のワンピース。


男子はスマートな黒スキニーと淡い緑のシャツ。


私はそれに合わせて、ミルクグリーンのシュシュをつける。


着替え終わって、
功はそれに気づいてくれた。


それだけで嬉しかったりもする。


団の陣地に戻れば、早苗やクラスの人が大丈夫だった?って声をかけてくれる。

そして、

「すみません、ずっと抜けてて…」

団の先輩たちに謝る。


「大丈夫だった?ほんっとに心配したんだからね!」

と抱きつく三宅先輩。

良かった、と安心したような笑顔を見せる阿久津先輩。

花音先輩は無理しないでね、なんて優しい声をかけてくれる。

良い人たちばかりで良かった。


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いよいよ次が本番。

どの団の応援もかっこいい。
暴走族みたいなコスプレをしている人もいれば、アイドルみたいに歌う団もある。


力入ってるな、なんて感じて余計にプレッシャーがかかる。

隣でスタンバイしている功。


その袖口につんっと触れてみる。

「…どうした?」


「…何でもない。」


「緊張してんの?」


「ちょっとね。」


少しそっぽを向いた時、功の手が背中に触れる。

「功…?」


「大丈夫。きっと上手くいくよ。」


「うん、ありがとう!」


その優しさにドキンッて胸が高鳴る。


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「よし、じゃあ円陣組むか!」


そんな阿久津先輩に従い、私たちは


『頑張るぞ〜!オー!!!』

と声をかけ、
グラウンドへ走って駆けていく。


スタートしたミュージックに、女子のダンスが始まる。



一番に盛り上がったのは、やっぱり男女混合のパフォーマンス。


功の手を取り、クルッと回ったり、
肩を押して可愛らしい喧嘩みたいなのも演じる。


何というか、みんな楽しそうで
青春って感じがダイレクトに伝わる。



ラストに男子が女子を持ち上げて
カップルっぽい
決めポーズをした時はかなりの黄色い声が。


功と阿久津先輩の名前を呼ぶ声が断トツ多い。

功たちのバク転も凄かったんだよ?
かっこよすぎて、ダンスどころじゃ無かったもん!

さすがイケメンは違うね。


ミュージックも終わってたくさんの拍手が貰えた。


「功!やったね!」


「うん、梨乃よく頑張ったね。」


そう言って頭をすっと撫でる功。
私はその手を握って功を引っ張る。


「どうした?」


「ううん。何となく。」


「…ふーん。」


そして団の陣地に戻れば、


「お疲れ〜!」

と、タッチを交わす。


「早苗!
早苗のおかげだよ!成功できたのも!」


「本当!
良かった。梨乃も上手になったよね!」


「ありがとう。早苗先生…」

なんか、
褒められると涙が出てくるじゃないか。
だってちょっと前まで、厳しく扱かれてたのに、…


「うぅ… 早苗…」


「え、梨乃ちゃんどうしたの?泣いてる!」

心配して寄ってきてくれた阿久津先輩。


「阿久津先輩…
ちょっと、感動しちゃって…」


「ははっ」

「笑わないでくださいよっ」


「だって梨乃ちゃん可愛いんだもん。
ほら、よしよし…」



そう言って先輩は肩をさする。
優しいのか、
それとも何か狙いがあるのかは分かんないけど、先輩は良い人だ。



功に目をやれば、女子に囲まれてなかなか話せるような状況じゃない。


いろんな人と楽しそうに話す功。



私がいない時でも、
楽しそうに出来るのは、
当たり前の事なのに、
なぜか遠のいて感じてしまう私は、

メンヘラの類に入るのかもしれない。

いかんいかんと、精神を保つ。