何と私たちは綱引きで学年2位を引き当て、緑団に良い風を巻き起こさせる。


そして朝っぱらから、
フレーフレーと応援だ。

意外と暑くて、
意外と喉使って、
意外と楽しい。


いつも仲のいい先輩たちとできるのだから、全然辛さなどへっちゃらだ。




よーい ドンッ


昼前の空に焚かれる乾いた音と・瞬時に巻き上がる歓声。


ちなみに私は早苗からバトンを受け取ることになっている。

そしてアンカーが功だ。


回ってきたときにはすでに2位を獲得していて、かなりのプレッシャーがかかる。


でも、手足を思いっきり駆使して何とかキープすることができた。

それは良かったんだけど…


バトンを
渡した後にフラッとくる体のおもさ。

周りの歓声がこだまして何度もブォーンと聞こえる。


何とか意識を持って

ふと目についたのが、功の走ってる姿。

どんどん距離を詰めて一位になる。

すごい…

ゴールテープを切った後の爽やかな笑顔。

ぼやけた意識の中、

私はその姿を見守ってから、

重い意識をふわっと手放す。





その瞬間お尻や頭を打ち付けて痛みが走るかと思いきや、柔らかな温もりが微かに感じられた…


鼻をかすめる、シトラスの香り。

「梨乃っ…梨乃っ…!」

聞きなれた大好きな声。
そして私を見つめる綺麗な目。


「はぁ、…こ、功…?」


そして私の意識は途切れた…。