「なんかごめんね。変な空気になっちゃって。」


「ううん。
海斗兄さん、まだ女遊びしてたんだね。」


「最近かな…でも今月に入って3人目だよ?
わたしには考えられない。」


「…。ほら梨乃、元気出して。」


功は私の頭をそっと撫でた。
くすぐったいような、心強いような…


「功、ぎゅってしてもらって良い?」


「うん。」


功は優しい。
私のわがままをちゃんと聞いてくれる。

それで、
私が落ち込んでたらそばにいてくれて、
私を気遣ってくれる。


もう、功でいっぱいいっぱいだよ。

鼻をかすめるシトラスの香りも、
あったかくて、広い功の胸も、

全部が全部。


「功、大好き。」


「うん。僕も。」


その僕も…は、きっと功にとって条件反射のようなもの。


好きって、功を男の子として好きって、
今すぐ言いたいけど。言いたいのに。

功には好きな人がいて、功はその人がいるから付き合わない。

可愛いって言ってたな。
一体どんな子なんだろう。