「功!ねね、聞いて!」


「ん?なんか良いことあった?」


部活終わりに、すぐさま功に駆け寄り、報告する。

「早苗と仲直り出来たの!」


「本当に?良かった。
ほら言ったでしょ?大丈夫だって。」


「うん。
功が側にいてくれたから、
色々と助かったよ。ありがと、功。」


「ん。よしよし、よく頑張ったね。」


功は少し機嫌よく私の頭を優しく撫でた。
私は猫じゃないんですよ…

そんな事を思いながら、密かにドキドキしている自分…

顔も少し火照って赤くなってるだろうな…


それを見かねてこの能天気は、

「あれ、梨乃照れてるの?」

なんて事を聞いてくる。


「っ…別に照れてないもん!」


「ふっ…嘘が下手だなぁ梨乃は。」


「ただ…」


「ただ…?」


「やっぱ功が好きだなぁって。」


「…。」


あっ!私今なんて言った?
さらっと好きって言った?

どうしよう、
さっき早苗とライバル宣言したとこだよ?

何先走ってしまったんだ…

抜け駆けは良く無い!帳梨乃!


「梨乃…。」


「は、はい!何でしょう?」


「そろそろ限界。」


「え、何が?」


「梨乃にキスしたくなる。」


「はっ!?」


キ、キスですか…!?
それは、
もう、幼馴染の域を超えてませんか?


こういう場合良い意味で捉えて良いのかな?
もしかしてからかわれてる?


さっきから、全然目合わせてくれないし…。


「ね、それ思わせぶり?
上目遣いするし、すぐ顔真っ赤になるし…」


「お、思わせぶり…?」


むしろ功の方が思わせぶりでは……?



「違うよ!だいたい
功背が高いから自然とそうなるんでしょ?」



「…そうだね。でもそこはわざとだよって言って欲しかったなぁ…残念。」


「えっ?」


「ま、帰ろっか。」


「あ、うん。」


功はそれだけ言ってパッと何かを切り替えて先先進んでしまう。


「功のばか。早く気づいてよ…」


私は功に聞こえないよう、
そっとつぶやいた。