「早苗…私も手伝うよ。」


「…あ、ありがとうございます…」


何で敬語なの…
余計距離を置かれた気分だ。


そんな違和感に少し傷つきながらも箱の片方を持つ。


「さ、早苗。あの、ごめんね。」


「え、何が?」


「ずっと謝れてなかったから。傷つけてきた事。」


「あー。もう、なんで!」

急に声を荒げた早苗。


「え?」


「何で?一方的に私が怒ってるだけなのに、何で梨乃はそんなに自分を責めるの?」


「私だって悪いとこあるもん!」


「はあ…?もう。我慢の限界。」

「えっ!?」


また気に触るようなこと言っちゃったかな?


「いい人すぎるんだよ梨乃は!ムカつくの!」


「え?」


「だから…私もごめん。
本当は避けるつもりなんかなかった。
ただとばちゃんと功くんに妬いてたから。」


「とばちゃん呼び……
早苗!とばちゃん呼びが帰ってきた!」



「え、うんそうだよ。とばちゃん。」


さっきまで敬語だったのに…!



「早苗、仲直りって事でいいの?」


「うん。そうだよ。
あ、でも一応ライバルね。どっちかが付き合うまでそれは一緒。

そしたら私は潔く諦めるから。」


「早苗…。うん、それは私もだよ。」



そう言って笑ってみせる。
ひさびさに触れた肩は友情の復帰を表す。


良かった。そして先輩、ありがとう。
私はそんな事を思い胸をなでおろす。


早く功に報告しなくちゃね。