ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

翌日。

正直早苗にどう話しかけたら良いのか分からない。

自分が悪い事をしたのかも分からない。

だけど、やっぱり早苗を傷つけたに違いないから、顔を見たらすぐ謝ろうと思っていた。


…思っていたのに、、、

教室に功と入れば、既に早苗がいて…

あっちも気づいたようで目が合う。


「あの、早苗っ …」


そう話しかけた途端…

スッと
私を避けて教室を出て行こうとする早苗。


「ちょっと待ってよ!」

私は早苗の腕を掴む…


「何?
出来れば私に、もう近づかないでほしい。」


「え?早苗…?
そんなはずない!
だって早苗は良い子だもん!」


こんな… 冷たい人な訳ない…


「何言ってるの?悪いけど、私は人の恋優先するほど良い人じゃないから。
ほら、早く他の友だち作れば良いじゃん?」



「な、なんで…?
こんな事で崩れる仲だったの?」



「さあね?じゃ。」


早苗は私をキッと睨んで、
そう冷たく言い放ち、
わたしから離れていった。



どうして…こうなるかな…、
私はもっと早苗と居たいのに。


「…梨乃?大丈夫?」


何も知らない功はさっきのやりとりを見かねて心配した顔を向ける。

原因は功なんだよ?
功がモテるからだよ。


「大丈夫じゃない…
どうしよう、
もう早苗と一緒に居られないかも…」



「んー、何があったかは分かんないけど、
きっとどうにかなるよ。」


君はいつもそう。
問題ごとなんか無視して、呑気にそんな事を言う。

能天気に、そう言う。



「何が大丈夫なの?だって早苗は…」


「大丈夫。僕が居るじゃん。」


「でも…」


「何?不安なの?
濱田さんだって梨乃の事嫌いなわけないよ。
分かるよ、僕。」


「本当に?」


「うん。本当に。」


そう言って功は私の頬を撫でた。
優しく、包み込むように。



「功…ありがとっ。」


私は、さっきまでの空気を取っ払うように
思いっきり笑ってみせた。


「梨乃の笑顔、可愛い。」


「本当に?」



「うん。本当に。」