ここは私の部屋。また功と勉強会を開いた。


功は頭が良いからか、ささっと宿題を終わらせ、私のベットで寝ている。


どんだけ寝てるんだよ。こいつは。


さっきシャワーを浴びたからか、濡れた髪が少し色っぽい。


気づけば時計は8時手前を過ぎていた。



「功、起きて。ご飯作るから食べてきなよ。」


そう言って功の手を弄んでみる。
意外と手が重くて…

でも長いし細いし、羨ましいな。
男の子ってみんなこんなんだっけ?



そんな事を考えてるうちにその手は軽くなって…私の手首をガシッと掴んだ。


功はそのまま勢いよく起き上がり…


ギシッと軋むベットのスプリング。


私に覆いかぶさるように抱きしめた。



「ちょ…こ、功?」


掴まれた手首がジンジンする。覆い被さったその体は大きくて、たくましくて

私じゃ到底敵わない。



功は何も話さない。


ただ、

と…と…

という功の心臓の小さな音が私のと共鳴して響く。



「功…なんでこんな事するの?
心臓が持たないよ…」


「ねえ功、聞いてる?私最近功で頭がいっぱいいっぱいなんだよ?」


功は私の肩から顔を離し、私を真っ直ぐに見つめた。

でも目元は優しくて。


「そのまま、僕でいっぱいになれば良い。梨乃が僕のものになれば良い。」


功は低くて耳障りの良い声でそう呟き、
私の頭を撫でた。

その目はとても真っ直ぐに私を見つめていた。

……、

僕のもの?


何でそんな事私に言うの?功は誰とも付き合わない。

そんなの分かりきっているのに。
私を誤解させるような事言わないでよ。




そんなこと言われたら、功のこと好きになっちゃうじゃん、…

それに私は…恋なんて必要のない人間なんだよ?余計惑わせるような事、言わないでよ?



そんな願いも虚しく


功は私の額にキスをした。
それは私に恋という呪いをかけるように…。