「あ、とばちゃんおはよう!早苗バスケ入る事にした!」



「本当!私もだよ。今朝入部届け功と出してきたの。」


「功くんも入るの?めっちゃ嬉しい!昨日もかっこよかったよね。永久保存版だよ。あれは。」



早苗はとても嬉しそうに話した。
でも私はそれを見てうまく笑えなかった。




「うん。そうだね。」



「とばちゃんって好きな人いないの?」


「え?急だね。」



「だって恋バナなのに、私ばっかが話してるから。」



「うーん。」


やっぱりそういうネタを持っていないとダメなのかな…

見当たらないよ。そんな人…。


「ほら、あの人。阿久津先輩は?
仲良いみたいだし。」



「あー。阿久津先輩ね。好きな人ってわけじゃないんだ。確かに先輩かっこいいかもね。」


「じゃあ
これから恋に進展してくんじゃない?」


それはない。そう断言出来るけど、
私は濁して


「どうかな。」


と答える。


「ねえとばちゃん。とばちゃんは功くんのこと好きになったりしないの?」



「えっ功?功か…ほら、私、恋とかそういうのべつに良いかなって。」


「そうだけど…いつかは後悔するよ?」


「それに私が功を好きだとしても、
早苗に悪いけど、功は誰とも付き合おうとしないから。」



「功くんって誰とも付き合おうとしないよね。私もおととい体育館裏で告白されてるの見ちゃってさ。
すごく可愛い子だったんだよ。でも、断ってた。」



「その理由は、わたしにも教えてくれないんだ…」



功は何を考えてその子を振ったのだろう。
わたしは気になってしょうがない。


功に目をやれば相変わらず女子に囲まれていて、でも、適当に返している感がすごい。


もしかして、女の子が苦手とか?
それか他に好きな人がいるのか?


そう考えるとやっぱり、また胸がぎゅっと重く沈んだ。