ふと空を見上げると、
数少ない桜の花びらが、ひらひらと風に沿って流れる。
なんかこういうのを見てる時は、心が落ち着くというか…
私はつい見入ってしまった。
それが、いけなかった。
「っは⁉︎」
腕をすり抜けて、
ひらひらと廊下中に舞うプリント。
あ…あれま……
唖然とする他ない。
でも意識を取り戻して即座に窓を閉め、プリントを掻き集めた。
もう何やってんだろ私。
こんな時も、どんくささが垣間現れて自分が嫌になる。
意外と広範囲に広まってて、きっとホームルーム…間に合わないな。
すると目の前で誰かがプリントを拾い始めた。
「あっ、すみません。助かります!」
「いえいえ、大変だね。」
「はい、やらかしてしまいました…」
なんて小話を挟み拾い集める。
「これで全部だね。」
「はい、ありがとうございます!」
そうして初めて私は、その人の顔を見る。
「あ…」
「ん?どうかした?」
「昨日の生徒代表の…」
手伝ってくれていたのは、
私が嘘くさい笑顔と睨んだ
阿久津先輩だった。
間近でみるその顔は、
爽やかを超えるほど涼しげで
染められた、ミルクティーブラウンの髪は
むしろ清潔感さえ感じられた。
「ああ、うん。覚えてくれてたんだ。」
「は、はい。
みんな釘付けでしたから。それに、
違う意味で私の印象にも残ってました。」
「違う意味って?」
「あーえっと、笑顔が嘘っぽいなって。」
「…。ん?」
ん?
今私なんて言った?
プリントを拾ってくれた、人気者であろう阿久津先輩に。初対面である阿久津先輩に、
『笑顔が嘘っぽい』発言をしてしまったではないか。
これは、あとあといじめられるパターン!
もしくは、私の人生の終わり…
こうなったら、謝るしかない!
「ち、ちがうんです!えっとご、ごごごめんなさい!つい口が滑って…
どうか怒らないでください…」
「……、」
「あ、あの……」
沈黙が一番恐ろしい……
「はははははっ!面白い!君、名前なんていうの?」
「あ、えっと、帳 梨乃です。」
「ふーん。梨乃ちゃんね。初めてだよ、そんなの見抜けたの。」
そう言って先輩は高らかに笑う…
見抜けたってことは……?
「え、怒ってないんですか?」
「うん。だって本当のことだもん。」
「そうなんですね。」
そして廊下に鳴り響くチャイム。
「ほら、時間だよ。早く、仕事片付けちゃいな。」
そう言って先輩はくるっと私の向きを変えさせ、背中を押した。
「ありがとうございます!では、失礼しました。」
そう言って私はプリントを抱え駆け出す。
「あの子、なんか興味湧いてきた…」
先輩が、そう呟いていたのを、私は知るよしもない。
数少ない桜の花びらが、ひらひらと風に沿って流れる。
なんかこういうのを見てる時は、心が落ち着くというか…
私はつい見入ってしまった。
それが、いけなかった。
「っは⁉︎」
腕をすり抜けて、
ひらひらと廊下中に舞うプリント。
あ…あれま……
唖然とする他ない。
でも意識を取り戻して即座に窓を閉め、プリントを掻き集めた。
もう何やってんだろ私。
こんな時も、どんくささが垣間現れて自分が嫌になる。
意外と広範囲に広まってて、きっとホームルーム…間に合わないな。
すると目の前で誰かがプリントを拾い始めた。
「あっ、すみません。助かります!」
「いえいえ、大変だね。」
「はい、やらかしてしまいました…」
なんて小話を挟み拾い集める。
「これで全部だね。」
「はい、ありがとうございます!」
そうして初めて私は、その人の顔を見る。
「あ…」
「ん?どうかした?」
「昨日の生徒代表の…」
手伝ってくれていたのは、
私が嘘くさい笑顔と睨んだ
阿久津先輩だった。
間近でみるその顔は、
爽やかを超えるほど涼しげで
染められた、ミルクティーブラウンの髪は
むしろ清潔感さえ感じられた。
「ああ、うん。覚えてくれてたんだ。」
「は、はい。
みんな釘付けでしたから。それに、
違う意味で私の印象にも残ってました。」
「違う意味って?」
「あーえっと、笑顔が嘘っぽいなって。」
「…。ん?」
ん?
今私なんて言った?
プリントを拾ってくれた、人気者であろう阿久津先輩に。初対面である阿久津先輩に、
『笑顔が嘘っぽい』発言をしてしまったではないか。
これは、あとあといじめられるパターン!
もしくは、私の人生の終わり…
こうなったら、謝るしかない!
「ち、ちがうんです!えっとご、ごごごめんなさい!つい口が滑って…
どうか怒らないでください…」
「……、」
「あ、あの……」
沈黙が一番恐ろしい……
「はははははっ!面白い!君、名前なんていうの?」
「あ、えっと、帳 梨乃です。」
「ふーん。梨乃ちゃんね。初めてだよ、そんなの見抜けたの。」
そう言って先輩は高らかに笑う…
見抜けたってことは……?
「え、怒ってないんですか?」
「うん。だって本当のことだもん。」
「そうなんですね。」
そして廊下に鳴り響くチャイム。
「ほら、時間だよ。早く、仕事片付けちゃいな。」
そう言って先輩はくるっと私の向きを変えさせ、背中を押した。
「ありがとうございます!では、失礼しました。」
そう言って私はプリントを抱え駆け出す。
「あの子、なんか興味湧いてきた…」
先輩が、そう呟いていたのを、私は知るよしもない。