西田 一真side


なんだあの男。
そう思った時には既に遅し。

早苗の手を握ろうとする二人の男。
そして止めに入ろうとした帳。

早苗に目をやれば、肩が小刻みに震えていて、目には涙を溜めていた。

いつも強気な早苗。そう考えると、居てもいられなくなって彼女の肩を支え、裏…つまり別室へ移動する。



「ごめん…西田。…」


「いや、早苗こそ大丈夫?」


そう言って椅子に座らせる。


「うん。これくらい平気平気!」


そんなこと言ってさ…
やっぱりその笑顔…絶対無理してるし…。


「あんまり、無理すんなよ?」

「うん。西田って優しいんだね。」


「そうかな?早苗の方が優しいと思うけど?」

早苗の方が優しくて……魅力的だ。

あまり人と話そうなどしなかった俺に、いつも早苗は笑いかけてくれていた。

うまくプレイが行かなくても、次の試合まで、私がきちんとサポートするから!なんて言って励ましてくれた。


気づいたら、早苗を知らぬ間に目で追っていて…
それで…


「あのさ、早苗。」


「ん?どうしたの?」


「好き。」