恐る恐る教室に入る。

するとみんなが私たちの方を見て、数秒固まる。


え、これ…やばいやつ…


と思ったものの、

「おー!!!」

と上がる皆んなの声。

よ、良かったぁ。


「ね、帳さん!めっちゃ可愛いよ!これで客引きは間違いなしだね。」


「そ、そう?ありがとう!」


「ね、写真…撮っていい?俺めっちゃタイプなんだけど。」


「え、た、タイプ?
もうお世辞はよしなさい、武ちゃん!」


「ほら、一回だけ!」


「えー。」


そんな会話をしてた時、ずっと体が斜めへ向き、誰かの方に引き寄せられる。


「おとと、 な、何?」


「何じゃないでしょ?そのセリフ梨乃にそのまんま返す。」

そこには機嫌の悪い功が居て…なんか…眉間にシワが見える…


「ちょい、功。とばちゃん借りるよ。」


「ううっえ?武ちゃん?」

武ちゃんは強引に腕を引く。
写真って冗談じゃなかったの?



「は?こいつ、僕のだから。」

そしてまた強い力で引き戻される。
私の首元に両腕を回され、後ろから抱きしめるような形に…


『キャーー!』

「ひ、ひぇ〜!」


私もクラスの子達と一緒に、今回ばかりは黄色い声をあげる。


は、恥ずかしい…


思わず両手で顔をおおう。


「ん?何?照れてんの?」

功は面白そうに私の前に屈み込む。
顔が近い…


当たり前でしょ?こんなの悶える他ないよ。
功が…かっこよすぎるもん。


「梨乃…付いてきて。」

腕を引かれ、教室を後にする。
今日はなんか、腕を引っ張られることが多いような。

ちぎれちゃったら、責任とってよね。
功のばか。