「失礼します!ミカ先生はいらっしゃいますか?」

職員室につけばコーヒーの匂いがプンプン。
クーラーが効いていてとっても涼しい。


「あら、帳さんね。いるわよ。」

「えっと功が熱があるみたいで…
鍵空いてたんで寝かしてあるんですけど…。」



「あーそういうこと。後で行くから、ちょっと待っててくれる?」


「はい、分かりました!」


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そう言って功の元へ行ったんだけど…



ドアの向こうから話し声がする。
功の声じゃなくて、女の子の高い声。




「…功?」



そっとドアから覗くと…
……!





タイミングが悪い…




功と…あのハーフの先輩…。
林先輩が功の髪を撫でているところだった。



寝ているはずの功は長椅子に座っていて…
そのまま先輩は功の手を握り、どんどん近づいていく。




功の後ろ姿しか見えなくて、表情は分からない。一体どうゆう事?

功…?
これって浮気の部類に入る…よね?


このまま二人は…




「…やめて!!」


気づいたら声を上げていた。



「あら、幼馴染ちゃんじゃない。」


「…梨乃?」


「見て分からない?あなた邪魔よ?」


「は…?」



先輩の偉そうな態度にカチンとくる。


私…邪魔者?


だって…二人は顔も整ってて…それで、私よりもお似合いだ。



そんなの当然。
やっぱり私じゃ…ダメだったのかな?




「先輩?何言ってるの?
梨乃、もしかして誤解してる?」


ピリピリした空気の中、ぽやんとしている功。悪びれることも無く…。



「誤解って何?ごめん、私邪魔だったね…」


私は勢いよくドアを閉めて、その場を離れる。



走って、走って…。
どうして?ねえ、どうして?


やっぱり…男の人は簡単に裏切るんだ。それは、どんなに優しい功でも。



もう…いいや。何にでもなってしまえ…。



私を追いかける足音なども聞こえやしない。


本当は…追いかけて来て欲しかったな。
ちゃんと、違うって否定して欲しかったな。



ドンッ


そんなことを考えてたら、誰かにぶつかってしまった…。




「…ご…ご、…うぅっ…」



ごめんなさいって言おうとしてるのに…
喉の奥が熱くなって涙が溢れてきて、
声がまともに出ない。


「梨乃…ちゃん?どうしたの!?」



私を呼ぶ爽やかな声。だってそこにいたのは…

「阿、久津先輩…?」