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帳 梨乃side

夏休みも明け、
みんなのムードは文化祭まっしぐら。

もちろんそれは私たちもで…


「じゃあ、このクラスは何したいですか?」

学級委員の私達はそんな事を聞く。
ここになって初めて学級委員らしい仕事が回ってきた。

「はい!模擬店やりたい!」

「えー俺は劇がしたいなあ…。」

「いや!ここはメイドカフェ!」

「ファッションショーもどきなんてどうですか?」

い、意見が多い…

「え、あ、あの…
ちょっと待って!待ってってば〜!」


私のそんな呼びかけもむなしく、どんどん話が膨らんでいってしまう。


パンッ

乾いた音が二回教室に響く。
功が軽く手を叩いたのである。

すると案外簡単に静かになる教室。


「はいはい、じゃあ…一人ずつな。
じゃあまず佐藤さんから、希望聞いて良い?」


功は…進行も上手いのか…。
女子は功にうっとりしてる。媚びるような目をしてて、なんか不安になるんだけど…


今は仕事に専念しなきゃと首を横にブンブン振る。


「じゃ、梨乃、黒板に書いてくれる?」

「あ、うん。」


そして多数決で決まったのは…

『和菓子の模擬店』

和装をしてみんなで売るのはどう?

なんて意見が出て、
功の和装姿見たい!

なんて話が膨らんで、
うちの家和菓子屋だよ!

なんて風になって…


私も表に出る事になってしまいましたとさ。

衣装を集めるのは案外大変らしく、
女子は各自で浴衣を持ってくることになった。

一方男子はそんなの持ってない!っていう人が多くて、用意することに…

絶対功写真取られるんだろうな。
なんか嫌だな。