来たのはずっと気になっていた大人っぽいカフェ。

ブラックコーヒーが似合うあたり、ルナさんもとっても大人っぽい。

「あの子と付き合ってるの?」

「よ、よく分かりましたね!実はそうなんです。」

「やっぱり。お似合いだね。」

「ありがとうございます!」



「あのね、私から海斗を振ったの。
海斗にも
ちゃんと理由話せてないんだけどね。」


兄さんを振った…の?

「そうなんです、か?」

「うん。私ね、階段から落ちたんだけど…検査受けた時赤ちゃん産めない体だって言われたの。」


赤ちゃんが産めない体だって…わかったの?

それって
…よっぽどショック受けたんじゃないですか?


「えっ大丈夫なんですか?」


何ともないように笑ってそんな事を話してのけるルナさん。

きっと色々と大変だったに違いない。
だって赤ちゃんが産めなくなるんだよ?

そんなの私だって…耐えきれない、


「うん。今はね。手術したんだけど無理だったんだ。 海斗、前から私に言ってたんだよね、将来はしあわせな家庭を作りたいって。

それで、海斗にも相談せず、一方的に。私って本当ひどいよね。」


きっと…ルナさんも本当は別れたくなかったんだ。




「酷くなんかないです!ルナさんは、兄さんの事を思って…」

「ううん。違うの。私が弱いから。」

「でもこれじゃあ、二人ともが可哀想です。
ちゃんと話しをした方がいい気がするんですけど…」


「ごめん。それだけは無理。」


「どうして…」

「海斗に合わせる、顔なんかないの。
私はもう、…もう…。」


「そうですか…辛い話をさせてしまってごめんなさい。でも、兄さんは多分ずっとルナさんを待ってます。それだけは、忘れないであげてくださいっ。」



「梨乃ちゃんは、良い子なんだね。
そりゃモテるわ。」



「いえいえ、私、全然モテませんから!
ルナさんの方がモテると思いますよ?」


「そうかしら?やっぱり私は魅力的だから?」


「魅力的…私にはそんなもの…」



なんて、いつもの調子に戻って二人で会話を楽しむ。

ルナさんが良い人でよかった。
兄さんをちゃんと思ってくれる人で良かった。

私も兄さんのためならいくらでも…

少しでも笑顔になってほしい。
また、優しい兄さんに戻ってほしい。

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