優華ちゃんと一緒にボスから離れると、直ぐ男性社員に囲まれてしまった。

「ずっと佐伯さんと一緒に飲みたかったんだよね?」

ずっと、って何度もうちの店のバーカウンターで飲んだことあるじゃない?

私はある意味仕事だから飲んでないけど…

「何度もうちの店に来ていただきましたよね?」

「うん!でも、君にはお兄さんって言うお目付け役がいたでしょ?誘いたくても誘えなかったし?」

「俺もそうなんだよね?ずっと可愛いと思ってたんだぁ」

なんだなんだ?このそこはかとなく白々しい空気…

「仕事は出来るし気配りも出来る。良いお嫁さんになると思うよ?」

そりゃーどうも!

「ぶっちゃけさ?小野田さんとどうなの?なにか弱味とか握ってるの?」

「どうとは?上司と部下の関係ですけど?」

「そんなことないでしょう?佐伯さんスタイルよくて可愛いし?」

そんなこと思って無いくせに!

「じゃ、なにかあの人の弱味を握ってるとか?」

はぁ!?

「弱味なんて握ってません!」

「またまた…まぁその辺はどっちでも良いからさ!俺達の事小野田さんへ口添えしてくれないかな?本社へ移籍出来るようにさ?」

最近凄く感じてた男性社員からの視線はこれだったのか?
男女の関係のある私が口添えすれば、自分達は本社へ移籍出来るんじゃないかと?
アホらし!

「そうですよね?頑張って認めて貰うより、梨華先輩に口添えしてもらった方が楽ですよね?」

「ちょっと優華ちゃん!」

優華ちゃんの言葉に唖然としてしまう。
呆れて言葉を失っていると横にいた優華ちゃんが驚く行為に出た。

「はい!分かりました。皆さんがどれだけ素晴らしい方か、COOの小野田さんに梨華先輩が口添えするように、私が約束します!」

「ちょっちょっと優華ちゃん!?」

「名前忘れるといけませんので、皆さん私に名刺預けてください」

優華ちゃんは私が止めるのも聞かずに、私に群がっていた男性社員から名刺を預かっていた。

こんなことがボスにばれたら…

恐ろしくて考えたくない。
そう思って小野田さんの方を見れば、小野田さんも群がる女性陣から名刺を受け取っていた。

えっ!?…