テーマは事前に通知され、充分な練習も積めた。あとは開き直って“舞台”を行えばいいと、解っているのだが……。

(あぁ、もうっ。考えたってしょーがない!  ここまで来たら、やるだけやろう!)

「───落ち着かないのか?」

さすがに留加には見抜かれて、未優は素直にうなずく。

「うん、ちょっとだけ。慣れた舞台じゃないし……。
それに、みんな綺麗な人ばっかりで……なんて、気にしたって仕方ないよね!」

から元気に笑ってみせる未優に留加はふっと笑い返した。

「そんなことを気にしていたのか」
「そんなことって……そりゃ気にするよ! あたしだって、一応、女なんだからねっ」

思わずムッとして留加を見上げる。すると、留加の指先が、未優の頬に触れた。

「……大丈夫だ。君はとても可愛いし、魅力的だから」

優しい微笑みと共にささやかれた言葉に、未優の頭の中は、パニック状態となった。

(だだだ誰っ!? ダレ、この人ッ)

留加でない誰かが、留加の着ぐるみを身につけているのかもしれないと思った時、未優の名前が、大会の進行係に呼ばれた。

「あぁ、おれ達の出番だな。行こう」
「……留加、だよね?」

舞台へと歩きだした《疑惑の人物》に、未優はそんな問いかけをする。