とまどう様子は伝わってくるものの、納得がいかない者はいないようだ。
……他人と自分の実力の差を推し量ることができぬ者を、育てたつもりはない。
「───メンバー決めの試験は、来週の全体練習でやるよ。期間は短いが、どちらも慣れた演目だ。そう難しくはないはずだね?
以上、解散!」
パンッ、と、響子が手を叩くと集まった“歌姫”たちは「ありがとうございました」と声をそろえた。
散り散りになりながら、それぞれ親しい者同士、トレーニングルームを去って行く。
「みーゆう!」
弾むように声をかけてきたのは“偶像”の愛美である。ついでに後ろから抱きつかれた。
薫の男版かも……と、未優は内心で思っていた。
「すっごいじゃん! 大抜擢ッ。
あたし、『人魚姫』得意だし、選ばれるように頑張るね! で、未優の演じる終幕を、盛りあげてあげるからね~」
「ありがと。愛美が選ばれたら、あたしも心強いし……応援するね」
にっこりと笑い返す未優に、愛美はふふっと笑った。
「未優、なんか自信ついてきたじゃん? ……うん、いいよ、その得意気な微笑み。
やっぱ、女は愛嬌だよね~」
自らの頬に人差し指を突き、愛美は片目をつむる。それから、前方を歩いていた綾にちらっと目を向けた。声がひそめられる。
……他人と自分の実力の差を推し量ることができぬ者を、育てたつもりはない。
「───メンバー決めの試験は、来週の全体練習でやるよ。期間は短いが、どちらも慣れた演目だ。そう難しくはないはずだね?
以上、解散!」
パンッ、と、響子が手を叩くと集まった“歌姫”たちは「ありがとうございました」と声をそろえた。
散り散りになりながら、それぞれ親しい者同士、トレーニングルームを去って行く。
「みーゆう!」
弾むように声をかけてきたのは“偶像”の愛美である。ついでに後ろから抱きつかれた。
薫の男版かも……と、未優は内心で思っていた。
「すっごいじゃん! 大抜擢ッ。
あたし、『人魚姫』得意だし、選ばれるように頑張るね! で、未優の演じる終幕を、盛りあげてあげるからね~」
「ありがと。愛美が選ばれたら、あたしも心強いし……応援するね」
にっこりと笑い返す未優に、愛美はふふっと笑った。
「未優、なんか自信ついてきたじゃん? ……うん、いいよ、その得意気な微笑み。
やっぱ、女は愛嬌だよね~」
自らの頬に人差し指を突き、愛美は片目をつむる。それから、前方を歩いていた綾にちらっと目を向けた。声がひそめられる。