「『王女』シェリーさんが飛び抜けて多く、次いで『王女』綾さんと『禁忌』未優さんが、拮抗している状態です」

いつもよりもやわらかな受け答えと、未優に対する「さん」付けから、慧一の仕事モード全開なのがうかがえた。
……未優は正直、薄ら寒い。

涼子は慧一の言葉にうなずいてちらと未優を見る。

「解ったかしら、未優?
あなたは現在、『声優』よりも上で『王女』よりも下の“地位”にいるの。
今回支配人が、あなたと綾を競わせようとしたのは、当然の成り行きといっていいわ。自信をもちなさい」
「……はい!」

頬を染めて嬉しそうにうなずく未優に対し、室内にいた誰もの顔に、あたたかな笑みが浮かぶ。