留加の親指が、今はやわらかな被毛に変わっている未優の片頬を優しく撫でた。

くすぐったさと心地良さから、思わず未優は留加の指先に、自分からも頬をこすりつける。

『留加……あたし、留加が好きなの。ずっと、気持ちは変えられようもなくて……。
だから、お願い。このままあなたのこと、好きでいさせて?』

心の声を、もう押さえることはできなかった。
伝えた想いに、留加は困ったような、わずかに照れを含むような複雑な微笑みを浮かべた。

「……君が今、『山猫』の姿で良かった」

言って留加は、獣姿の未優を毛布ごと自らに引き寄せた。

未優は留加の言葉の意味が解らず、しかし、迷惑だとも言われなかったことに、心底ホッとした。

『───ねぇ、留加って、ひょっとして猫好きだったり……する?』

未優の問いかけに留加は苦笑する。当たらずとも遠からずな指摘だと思った。