ようやく留加にも納得がいった。女の“変身”は、感情の高ぶりが誘因とされている。

「大丈夫か? 君の部屋に、連れて行った方が良いか?」
「さっきの……嘘、だから。本当はあたし、留加に……少しでもいいから、好きになって、欲しいの。あたしの“奏者”でいて、良かったって……」
「それなら、いつも思っている。それより口をひらかない方がいい。“変身”しづらいだろう」
「───じゃあ、あたしのこと、好き……?」

留加は黙ってしまった。

未優は、自分の言葉が、彼を困らせたのだと思った。涙が、あふれる。
その時、自分を抱いた留加の腕に、力がこもるのが解った。

(留加……? ねぇ、少しでも好きでいてくれてるって、思っても、いい?)

心のうちの問いかけに、留加が答えてくれるはずもなかった。
それなのに、留加の指先が未優の髪を、愛おしむように撫でてくれたような気がして───未優は彼の腕の中で、自分が、小さく小さくなっていくのを感じた───。