反射的に叫んだ未優を、キャサリンはきょとんとして見上げた。

「そうですか? 慧一さん、優しいですよ? この間、食事当番の時、棚の上の方にあった調味料に手が届かないでいたら、取ってくれて。そのあと、手伝ってくれたし」
(……『山猫』の猫かぶりめ!)

「あの、未優さん。話を聞いてくれて、ありがとうございました。
未優さんに話して、口にだしたら、あたし、実感わいてきました。だから、なんとか頑張ってみようと思います。
───えぇと……それと、未優さんの『ラプンツェル』良かったです。
試験の時、あたし、感動して……あんなにキレイな飛翔、初めて見ました。
……あたしもいつか、できたらいいな」

まだあどけなさの残る頬でキャサリンは言い、もう一度頭を下げ去って行った。未優はその後ろ姿を、複雑な思いで見送る。

医務室の扉が開いた。

「未優嬢ちゃん、相談にのらんでもいいのか?」
「……おじいちゃん。あたし、なんかいろいろ、解んなくなってきちゃった……!」
「……ともかく、なかへ入りなさい」

うながされて、未優は医務室に入った。

勝は緑茶を二つ()れると、スチール椅子に腰かけた未優に茶碗の一つを渡し、残った方を自分に取った。

「で? 何が解らんと言うんじゃ?」