シェリーは清史朗の反応に、ちょっと笑った。声を明るいトーンに変えて言う。

「それより、シローにお願いがあるの。頼めるかしら?」
「……『王女(あなた)』のお申しつけならなんなりと。承りましょう」

かしこまって礼をとる清史朗に、シェリーは向き直った。その美しい(おもて)が真顔になる。

「あの子の“奏者”の、犬飼留加のことよ───」