ふわりとシャボンの香りが鼻をかすめる。

「真琴」

耳元でささやくような声がして頬に柔らかいものが触れた。

ゆっくりと目を開けると、澤井さんが微笑みながら私の頬にキスをしていた。

「そろそろ出掛けようか」

そう言った彼はシャワーを浴びたばかりなのか、まだ乾ききらない前髪が艶っぽく目元を隠していた。

ベッドの横に置いてある時計に目をやると、既に13時過ぎ!

「寝過ぎちゃいました。すぐ起きますね」

慌てて体を起こすと、彼が肩にかけたタオルで髪を拭きながら「慌てなくてもいいよ」と笑った。

そういえば私はまだシャワーも浴びてない。彼に急いで浴びてくると言い、バスルームへ急いだ。

久しぶりの二人きりのデート。

珍しく澤井さんが私に相談もせず、行きたい場所が見つかったと言うも、どこに向かうか告げないまま車を走らせる。