坂下から食券を受け取ると引き換えに、焼きそばを手渡した。



「ワカの手作り、楽しみです。」



「私が作ったんじゃ…ないよ。

だってパパが持ってた食券、“男の焼きそば”だもん。

クラスの男子が作る決まりなんだ。」



…ウソだけど。



「それは、残念です。」



ホントは、私が作った。



頑張って作ったからこそ、お世辞じゃなく本心が聞きたい。



そりゃあ、美味しいって言ってくれたら嬉しいけど…。



坂下好みの味付けを知りたいから、アドバイスが欲しい。



「後で、空きパック取りに来るね。」



そう言い残して職員室を出た。



こっそり中を覗くと、焼きそばを眺めながら坂下が微笑んでいた。