深夏のお母さんみたいに上手じゃないけど、まずまずの出来だと思う。



焼きそばの入ったパックを持つ手は、傷だらけになってた。



それを坂下のもとへ持っていく…んだけど、今どこにいるんだろ?



とりあえず、職員室を覗くと…。



あ、いた!



坂下は、隣の席の蒼と喋ってた。



人が溢れかえっている校内で、こんなに早く見つけられたのはラッキーとしか言いようがない。



「先生、持ってきたよ~!」



坂下の席に駆け寄って、言った。



「桐生、僕の分は?」



はぁ?



蒼の分なんて、あるわけないし!



「外でやってるから、自分で買いに行けば?」



「冷たいなぁ…。

この学校で僕を邪険にするのは、お前とアンジェくらいだよ。」



蒼はそう言うと、職員室を出た。



私は蒼の背中に向かって、あっかんべーってしてやった。



女子高生がみんな、蒼に靡くなんて思ったら大間違いだっつーの。