「あの…」

そう声をかけた紗綾に、
「同情しなくて結構よ、彼のことは好きじゃなかったから」

カミラは言い返した。

「えっ、でも…」

「まあ、エリックのことはもう1人のお兄ちゃんみたいな感じで思ってたの。

エリックだって男なんだし、子爵の跡取りなんだから、早かれ遅かれ結婚するのは仕方がないことよ」

紗綾をさえぎるように、カミラは言った。

「男なんてエリック1人じゃないんだし、私は私で彼よりもいい男を見つけて結婚するわ。

あなたはあなたで頑張りなさいね」

カミラはフンと息を吐くと、リビングへと足を向かわせたのだった。

(これって、祝福されたって言うことなのかな…?)

その後ろ姿を見ながら心の中で呟いた時、
「全く、素直じゃありませんね」

横からクレアの声が聞こえた。