ただ単に理解をするのが遅かっただけのようだ。

「サーヤ、それでいいの…?」

恐る恐ると言った様子で聞いてきたエミリーに、
「はい、それでいいです」

紗綾は首を縦に振ってうなずいた。

「もっと考えて答えを出していいのよ?」

「いいえ、もう答えは出ました。

私、エリックの婚約者になりたいんです」

エミリーは紗綾の顔を覗き込むと、
「婚約者になると言うことは、結婚…あの子の妻になることでもあるのよ?」
と、言った。

「わかっています」

それに対して、紗綾は首を縦に振ってうなずいた。

「今日1日一緒にいて思ったんです、エリックと一緒に生きて行きたいって」

「うん」

「彼ならば、私の全てを捧げてもいい」

そう言った紗綾の顔をエミリーは見つめた。