「ちょっといいか?」

「はい」

エリックに声をかけられたので、紗綾は彼のところに歩み寄った。

「じっとして」

エリックはそう言うと、服を紗綾の躰に当てた。

袖のところにレースがあしらったシンプルなデザインの白いワンピースだった。

「君にはこれが似合うな」

エリックはフッと得意気に笑った。

「えっ、そうですか?」

そう聞き返した紗綾に、
「ああ、よく似合ってる」

エリックは答えた。

「少しそこで待っててくれ、会計を済ませてくる」

エリックはそう言うと、その場から離れた。

その後ろ姿を見送っている間、紗綾は自分の心臓がドキドキと鳴っていることに気づいた。

「やっぱり、私は…」

そう呟いた紗綾だったが、すぐに首を横に振った。