初めて訪れた街は行き交う人々であふれていて、とても騒がしかった。

「す、すごい…」

いろいろな店が並んでいて、いろいろな匂いが漂っていて、いろいろな声が聞こえるこの街は、まさに異国情緒があふれていた。

「あんまりよそ見をするな」

エリックがそう言って、紗綾の肩を自分のところへ引き寄せた。

その横を馬を引いている商人らしき男が通った。

気がつかなかった。

「すみません…」

紗綾が呟くように謝ったら、
「俺から離れないように気をつけろ。

人を探すのは嫌いなんだ」

エリックが言い返した。

紗綾は彼から離れないように注意をしながら一緒に街中を歩いた。

「何か買いたいものや見たいものがあるか?」

エリックが聞いてきた。