「ほら、行くぞ」

エリックはそう言うと、先に歩き出した。

(いっそのこと、変だとはっきり言ってくれた方が気持ち的にすっきりするのに…)

そんな彼の後ろ姿に向かって呟くと、紗綾は後を追うように歩き出した。

エリックがクルリと振り返ったかと思ったら、自分を見てきた。

(な、何だろう…?)

そう思っていたら、エリックが自分に歩み寄ってきたかと思ったら隣に並んだ。

「えっ、あの…」

「行くぞ」

「は、はい…」

それ以上は何も言わない様子のエリックに、紗綾は従うことしかできなかった。

「足」

「はい」

エリックが声をかけてきたので返事をした。

「足が痛くなったら、あまり無理をするんじゃないぞ」

そう言ったエリックに、
「はい、わかりました」

紗綾は返事をすることしかできなかった。